11/05 パイン畑から満月が昇る月夜の晩に、、
月夜の晩に、イカ釣りに出かけた。
ただの徒然に任せてではなく、潮の時間と風と波を考慮した本気モードの釣り。
干潮01:30。夜11時くらいから出かけて、干潮時間の前後で3時間くらいが勝負。
本気モードの狩猟系夜釣りをしてみたいと、後輩のけんたろうが言うので一緒に連れて行くことにする。
現地到着。夜12時前。ライトと竿とクーラーバックと替えのエギを数本。ウェットスーツに長靴。
いかした格好だ。オレたち、かなり男前。
このまま朝までビーチで待機して、ビキニのお嬢さんでも口説こうか。
「お嬢さん、一緒にイカ刺し食うかい?」
「ハイソな、お嬢さんのビキニにはイカスミパスタがお似合いだね。」
、、なんだか分からんが、変にテンションが上がる。
けんたろうも妙にハイだ。
眠気と疲れから、ヘンな妄想でもしているのだろう、、
「よーし今日はイカ祭りじゃー。」
「イカスミにまみれましょう。」
「うぉおー!!」
ビーチからエントリーしリーフをがしがし歩いていく。
最初は結構、潮が引いていて歩きやすかったのだが歩くにつれ、水深がくるぶしから脛。
脛からひざ。15分も歩くと、ひざから腰に。
あれ?あれ??
頼みのまん丸お月様も羊の群れに追われ、あたりは薄暗い。
不安という名のウイルスは空気感染していく。
「、、隊長、、なんだか深くないっすか?」
「、、うーん、そうだな、」
「そうだなって、、隊長は現在地を認識しているのですか?」
「むー、、」
「ここって隊長の縄張りなんでしょ?最近来てなかったんすか?」
「、、、5年ぶり、、、」
「迷ってたんすか??」
「、、、」
「上地けんたろうを隊長に昇格!あとは任せた、よろしく!」
「ぇえーー」
腹から胸まで海につかりながらもリールとクーラーバッグはうえに突き出し、暗夜行軍。
大海原に男二人。
、、、会話なし。信頼もなし。、、
うしろでブツブツぼやいている。持っているものがつり竿でよかった、、、モリだったら刺されかねん、、
戦争映画でよくみるシーンだ、、
、、隊長、、もう、あんたにはついていけない、、
よく聞け、KEN、味方の部隊はすぐそこだ、
もう何日も行軍しているじゃないか、いったいどこに味方がいるっていうんだ、、
落ち着け、KEN、感情的になるな、
シャーラップ!、、ズガーン!
、、寒気がする、、やばい雰囲気だ。
「けんたろう、そろそろ釣れるんじゃないか、結構水深あるし。」
「水深なんて、さっきから充分ありましたよ。」
、、険悪だ。
「だんだん思い出してきた。あっちが深みになっててイカもたまってるぞ。」
、、うそをつく。、、いやいや嘘も方便ってやつだ。
「どっちも同じに見えますけどね。じゃーまーここで釣りますか。投げんと100%釣れないし、、」
、、むー、、嘘と見破っていながらも、なかなか諦めのいいやつだ。やりおる、、
やつとは少し距離を置く。
あんだけ殺気を放っていたら生き物は近づいては来るまい。
、、まだまだ青いのう、、
物事は切り替えが肝心なのだよ、けんたろう。
今日はソレを教えに来たのだよ、、ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、
そうこうしているうちに早くもヒット。
なかなかの引きだ。
5年ぶりに、ジェット噴射の感覚が手に伝わってくる。
やはり、ここはイカの巣窟だ。ウジャウジャいるのだろう。
釣り方は人それぞれだろうが僕の場合は、あまり当たりを合わせない。
エギをむしゃむしゃかじっているイカに気付かせないくらい、そろーと巻いていき足元まで寄せる。
このときは、絶対動かない、明かりを照らさない。
警戒されるとスミをはいて大暴れされるからだ。
ばらす確率もこのときが一番高い。
ゆっくり慎重に、そして一気に目のあたりを首を絞めるようにつかむ。
まさに一撃必殺仕事人。
この釣り方だとスミをほとんど残した状態でとれるし、即しめるので鮮度も保たれる。
ブシューブシューと勢いよく噴き出すが、首さえしっかり絞めておけばスミもなんにも出ない。
少しの間しめ続けると、身の部分が電光掲示板のようにいろんな模様になり、最後はギューと悲鳴を上げて果てる。
ゆっくり慎重に足元まで寄せてきた。
案の定、まだイカは気付いていない。
ふぉふぉふぉ、、こっからが仕事人まんさくの腕の見せ所じゃ!
「お仕置きじゃー!」
「ブシュー!」
、、、なんと、、外した。。
、、なんでだ、、タイミングもスピードもバッチリだったのに。
イカに触れたときに、ヌルーと動かれた。
、、そうか、、5年ぶりだったから触れる感覚が失われて、無意識に掴んだときに手加減していたのだろう。
小鳥なんかをギューと握れないのと同じ感覚になってしまっている。
あたり一面、スミまみれ、、
エギはしっかり掛かっているようで、僕を中心にイカがスミはきながら円運動。もー真っ黒。
そこら一帯ナンも見えない。おまけにスミの香ばしいかおりが僕を包む。
、、、煙幕。そしてこの怪しい香りは、、まさに、「くのいち」の仕業かな。
、、なんだか逃がしてやってもいいような気になってきた、、
いにしえの名のある武将が、「くのいち」にしてやられてきたのも頷ける。
、、そちもやるのう、、
、、が、しかーし、この仕事人まんさく様に色香は通じんわー!
、、ギュー、、
釣り場に着くまでに迷った時間も長く、実際に投げていた時間が短かったこともあり、
結局2匹しか上がらずじまい。ほか2匹のイカがふらふらーと付いてきたのを目視できた。
「どうだった、けんたろう?」
「いやー、手元まで寄せたんすけど取り込む時にばらしてしまいましたよ。」
ふぉ、ふぉ、釣りは取り込みが一番むずかしいのじゃよ、、
色香に惑わされるとは、若いのう、、けんたろう、、
ガイドまんさくの趣味、シーカヤック、サーフィン、キャンプ、釣り、、などなど
、、、すこし考え事する癖が、、、